はじめに
以前、私がうつ病になった要因の一つである「仕事ができないのに行動力だけはあり、仕事を増やしては邪魔をしてくる人」について書きました。
ただ、前回の内容が膨大になりすぎてしまったため、今回はテーマを絞って「非効率な人の思考」について分解して書いていこうと思います。
前回の膨大な記事
効率的な方法を思いつかない
私にとって仕事は「効率と正確性」です。
なので「非効率だな」とか「無駄だな」と思ったようなことはどうすればこの作業を減らせるのか、どうすればこの作業をせずに済むのかを常に考えています。
デスクワークであれば便利なITツールを導入したり、動線が悪ければ配置を変えたりと、常に改善を図ります。
しかし、職場にはAさんがいました。
同じ仕事をしているにも関わらず、私が5分程度で終わる作業に30分以上かけていることがありました。
わかりやすい例としてExcelをあげてみます。
Excelにはテーブル機能がありますよね。
でもテーブルって同じような情報がずらりと並んでて見にくいなと思うことがあると思います。
テーブルのスタイル機能を使えば一瞬で交互に色付けしてくれますよね。
目的が見やすくするための色付けであればこの機能を使えばすぐに目的が達成できます。
しかし、Aさんはその機能を知りません。知ろうともしません。調べもしません。
なので彼が何をするかというと、1行ずつ手作業で選択して色んな色をつけていきます。
もし機能を知らずとも青、白、青、白、、のように1色あれば交互に色付けできるわけですが、彼は1行目に赤、2行目に青、3行目に黄色、4行目にオレンジ.....という感じで全ての行を1行丸ごとカラフルに塗りつぶしてきます。
こんな作業を数千行も手作業でしてるから時間がかかるのも当然です。
非効率に陥る思考
彼の特徴として、「なぜか最も非効率な選択肢を絶対に選ぶ」という点にあります。
仕事を進める方法、効率的な方法はいくらでもあるのに絶対に最も遅い方法を選びます。
例えば、「出張で500km離れた目的地に行く」場合、どのようにそこに行くでしょうか?
徒歩、自転車、車、電車、新幹線、飛行機などいろんな手段がありますよね。
普通の人であれば、車や電車、新幹線、飛行機などの移動手段を選びますよね。目的は出張なので効率的に移動することであり、徒歩や自転車を選ぶことはまずないですよね。
しかし彼の場合は、、
1kmでも5kmでも10kmでも50kmでも500kmだろうが迷わずに徒歩を選びます。
これは決して「新幹線に乗って目的地に行くこと(=効率的なITツールを使って仕事を早く終わらせること)をズルだ」と思っているというわけでもありません。
中には地道な作業を地道にすることこそ仕事だと思う昭和脳な人もいるかもしれませんがこの思考とも全く違うんですよね。
もし昭和脳であるのなら、ITツール(新幹線)を使うことを極端に拒否するわけですが、彼の場合は決して新幹線を拒否しているわけでもありません。
彼の場合、「新幹線に乗って移動している人(=効率化ツールを使って早く仕事を終わらせている人)」の存在構造そのものが理解できていません。
効率的に早く目的地に着いたBさんを見たとき、Aさんはこう考えます。
「なんか知らんけど、俺よりもBさんの方が早く目的地に着いたみたい。
なんでかわからんけど早く着いたってことはBさんの目的地は距離が短かったんだな。
楽だったんだな。」
と。
徒歩で100時間かかる移動距離をたった1時間でたどり着いけるわけがないのに。
理解できませんよね。
Bさんは新幹線に乗ったから徒歩で移動しているAさんよりも早く着いたわけです。
決してBさんの目的地が短かったわけではありません。AさんもBさんも同じ500kmの移動距離です。
要するに、彼には新幹線という効率的な移動手段が見えておらず、「早く着いた=彼の方が楽なんだ(仕事量が少なかったんだな)」と思っているわけです。
新幹線という乗り物があるというのが脳にないということです。
本来、500kmの移動に新幹線を選ぶは合理的な判断ですよね。
しかし彼は、Bさんが500kmを移動しているという物理的な事実は変わらないにも関わらず「Bさんは早く着いたから、Bさんの道のりは5kmくらいだったんだな」と考えているわけです。
彼の脳内ではこうなっています。
事実:Bさんは500km離れたところ新幹線を使って1時間で移動した。
彼の脳内:Bさんが1時間で到着した、思ったよりも近いな。ということは5kmくらいか。
じゃあ俺も1時間くらい歩けば目的地に到着しそうやな。
おっしゃ、1時間歩いたし、目的地に到着したな、完璧や。
Aさんは本来500km移動するべきところを、Bさんと同じ1時間を徒歩で移動し、5km地点に辿り着くと自分はBさんと同じ場所に着いた(本当はBさんは500km地点にいるのに)と思い込むわけです。
Bさんが「1時間で行けた」という結果の数字だけを切り取り、自分も徒歩で1時間歩いたから目的地に到着したと思い込むというのが彼の思考です。
仕事でもまったく同じことが起きています。
効率的に早く仕事を終わらせた人を見て、「あいつの仕事は早く終わったから簡単で楽な仕事だったんだ。」と本気で思っています。
なぜ非効率なことを選ぶのか
では、なぜ彼が非効率な方法を選ぶのでしょうか。
それは「時間がかかる仕事すること=忙しい仕事をしている自分は優秀である」と思い込みたいからです。
彼自身が意図的に考えているのではなく無意識です。
しかも彼は疑うということをしないので、「あれ?500kmもあるのにBさんが1時間で着いたのはなぜだろう?自分が知らない手段を使ったんだろうか?」と考える思考がありません。
彼にとって重要なのは「仕事の結果」ではなく、「仕事をしているように見えること」です。
500km移動するのは「出張」のためですよね。
しかし彼は「500kmの移動」と「1時間」という概念が並んだ時、「1時間」という方に意識が引っ張られます。
彼にとって仕事ができるということは時間がかかることです。
仕事の結果は関係ありません。
そのため、新幹線を使うより車で時間をかけて移動するし、車より自転車を使うし、自転車より徒歩を選びます。
なぜならその方が時間がかかるから。
で、時間がかかればかかるほど自分は仕事をしたと思えるため、最も非効率な方法を選べば時間をかけられるため、新幹線、車、自転車という概念は初めからなく徒歩しか選ばないということになります。
彼の脳内では、出張が目的なのではなく、「1時間移動すること」が目的にすり替わっています。
そのため、本来は500km先の目的に着いてなければならないのに、Bさんと同じ1時間を徒歩で移動したことに満足して仕事ができたと思っているわけです。
本来、仕事の目的は利益を出すこと、コストを減らすことですよね。
総務、経理、事務、エンジニアなどいろいろありますが各部署の目的は総じて利益を生むことやコストを減らすことです。
彼にとって仕事は時間をかけることなので効率的に仕事を終わらせてしまうことは、「仕事をしていない(=手を抜いている)」ことと同義になっているわけです。
目的と手段が入れ替わるというのはこういうことです。
おわりに
彼の最も恐ろしいところが、自分ではものすごく効率的で仕事ができていると思い込んでいることです。
自己評価が異常に高く、ミスが多い仕事をアウトプットしながらも「完璧です。」と言っているので。
自分ができていると思い込んでいるので周りの人に仕事について質問することはありませんし、注意されてもなぜ注意されているのかを理解していないのでまた同じミスを繰り返します。
こうして「本人はものすごく仕事をしている気になっている一方で、周りがひたすら非効率な作業の尻ぬぐいをさせられる」という不条理な循環が生まれます。
なぜこうなるのかというと、これが防衛本能だからですね。
自分が仕事ができないことを無意識で認識しており、でもそれを認める能力がないのでバタバタと忙しそうに見せることで仕事ができていると思い込みたいから、です。